てんかん発作の治療目標について
明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
昨年11月に「てんかんによる発作治療開始のタイミングについて」というお題でブログを書かせ頂きました。
今回はてんかん発作の治療目標について書きたいと思います。
まずは11月のおさらいです。
飼い主さんに対し、発作治療開始のタイミングは下記のような基準でご提案しています。
1、てんかん発作の頻度6ヶ月間で2回以上起こった場合
2、群発性発作(=24時間以内に別々の発作が2回以上起こる状態)があった場合
3、てんかん重積(1回の発作が5分以上続いていた、または最初の発作が治る前に次の発作が起こり、それが継続した場合)があった場合
4、発作が終わっても様子がおかしいなど余韻の継続が長い場合
5、発作の間隔が短くなってきている場合
6、発作の重症度が増してきている
7、頭の中に発作の原因病変がある場合 など
7の「頭の中に原因病変がある場合」については今回のお話の対象にはなりません。
なぜなら、発作を抑える治療をするだけでは不十分だからです。
7の場合は原因となる病気に対しても同時に治療を行わないと発作をコントロールできません。
ここからは1から6までに対するてんかん発作治療目標についてお話しします。
治療目標は「発作ゼロ」です、と言い切りたいところですが、実はあまり現実的ではありません。
意識を失ってバッタリ倒れ、全身が痙攣するような大きなタイプのものもあれば、意識はしっかりしているものの手足などの一部をピクッ、ピクッとさせる小さいタイプのものもあります。
小さい発作だからコントロールしやすいかというとそうでもありません。
また、発作のタイプや発作時の重症度、発作時間にも個体差があること、犬猫によっても使用する薬が変わることや薬の効果が出やすい子と出にくい子がいるため、一筋縄ではいかないことが多々あります。
そのため、現実的な目標としては治療前に比べ、
1、発作の頻度を3ヶ月に1回未満にする、また、元々の発作頻度が多い場合はその頻度を50%以下になることを目指す。
2、発作の持続時間が短くなるようにする。
3、発作の程度を軽減する
4、薬の副作用を最小限にとどめる
4についてですが、どんなお薬も副作用が全くないわけではないため、個々の体調に合わせた処方が必要です。
また、発作の頻度は減ったが薬が効き過ぎていつもボーっとしていたり、ふらついている場合もコントロールができているとは言えません。
目標達成、もしくはそれに近づくことにより・・・
・わんちゃん、ねこちゃんの生活の質が今までより良くなります。
・脳へのダメージが減らせます。(発作は持続時間が長ければ長いほど、頻度が多ければ多いほど脳へのダメージが大きくなるためです)
・飼い主さんの心配が少なくなります。
てんかん発作の治療はほとんどの場合、生涯治療が必要となり、それに伴ってお薬の選択、お薬の副作用を最小限にするための定期チェック、生活環境整備なども行う必要があります。
より良い効果を目指すためには飼い主様のご理解とご協力が欠かせません。
てんかん発作以外の神経疾患につきましても気になることがございましたらお気軽にご相談下さい。
また、飼い主様のみご来院のカウンセリングも承っております。(カウンセリングの場合、お薬の処方はありません)
たまきペットクリニック 神経科担当
獣医師 大内 詠子
